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経理革命   儲かる会社に変える! 筆者 野本 明伯 (税理士)
第1章 「小規模事業主はつらいよ」 バックナンバー購読
第2章 「小規模事業の経理革命」
第3章 「会計事務所を120%活用せよ
1、コンピュータの発達とともに発展した会計事務所

 「経理革命」は、言い換えれば「会計事務所の利用のしかた革命」ということになるのかもしれません。
 そこでこの章では、企業と会計事務所の関係を振り返ってみて、
 これからの時代はいかにすれば会計事務所を上手に活用して、
 経理革命を実現できるのかということについて考えてみたいと思います。

■大型コンピュータを共同利用

 会計事務所も、かつてはソロバンを使って手書きでお客様の経理事務を処理していました。
 そこにコンピュータが登場したのは、約30年前です。
 しかし当時の大型コンピュータは、1台数億円もしました。
 会計事務所にとってとても高額なので単独で導入することはできません。
 そこで、1台の大型コンピュータを計算センターにして、全国のたくさんの会計事務所が
 これを共同で使うシステムを考えたのです。

 各会計事務所は、お客様の経理データを端末機に打ち込んで、
 その記録(当時は紙テープでした)を計算センターに送る。
 計算センターでは、全国から集まったデータを計算処理し、
 その結果をそれぞれの会計事務所に送り返す。
 そういうことが始まったのです。
 その計算処理能力は、手書きと比較すればけたはずれでした。
 会計事務所の処理能力も大幅にふえ、たくさんのお客様の経理処理を可能にしたのです。
 ただし、お客様の所から預かってきたデータを事務所で入力し、これを計算センターに送り、
 集計されたデータが事務所に戻され、それをお客様に届けるという時間的なロスは、
 なかなか解決できませんでした。

■オフィスコンピュータの登場 

 
その問題を解決したのが、オフィスコンピュータ、いわゆるオフコンです。
 オフコンは当初1000万円もしましたが、しだいに安くなってきて、
 個々の会計事務所でも導入できるようになりました。
 すると、会計事務所の処理もまた一歩合理化したのです。
 お客様の所で伝票と帳簿を整理してあずかってくると、
 事務所ではパンチャーがオフコンの前で待ち構えています。
 パンチャーがお客様のデータ入力を完了すると、その場で試算表などのデータが出てくるのです。
 修正したいときも、その場ですぐにできます。
 計算センターを使っていた時のようなロスがなくなりました。
 そして現在は、ほとんどの会計事務所にオフコンが入っています。

 会計事務所業界というのは、このようにコンピュータを導入した結果、
 事務を合理化し処理時間をどんどん短縮して、
 より多くのお客様の仕事を行うことによって発展してきたのです。
 

2、何も変わっていない中小企業の経理事務

■変わらなかった二つの理由

 ところが、そのお客様である経営者のみなさんは、いかがでしょうか。
 30年前も、たしか手書きで伝票と帳簿を付けていたはずです。
 経理処理のシステムは、30年前とほとんど変わらないのではないでしょうか。
 変わったといえば、ソロバンが電卓に変わって、電卓も安くなったことくらい。
 手書きで苦労されているという意味では、30年前とまったく変わらないと言ってよいでしょう。

 会計事務所は、この30年間でコンピュータを導入して処理件数を伸ばし、発展してきました。
 しかしその恩恵は、お客様であるみなさんのもとまで届かず、
 中小企業の経理は相変わらず昔ながらの手書きで貴い時間を浪費しているのです。
 現在も経理で苦労されている小規模事業の方が、日本全国にゴマンといます。
 コンピュータがこれだけ発達したのに、1円の計算が合わないために何時間も検算をし直したり、
 伝票や領収書のもれに気づいて何度も転記し直したり。
 延々と30年間繰り返しているのです。

 そういう不合理な仕事は、もはや人間がやる時代ではありません。
 コンピュータが最も得意とする仕事だからです。
 にもかかわらず、どうして小規模事業者はコンピュータの恩恵を受けられなかったのでしょうか。
 それには、理由が二つあります。
 それは、お客様自身の理由と、会計事務所側の理由です。

■お客様の事務合理化を忘れた会計事務所

 これまで会計事務所はお客様を第一に考えて仕事をしてきたかと自問すると、
 残念ながら答えは「ノー」です。
 いかにお客様の経理を簡単にして経営の基礎を合理化させようかという努力は、
 実際に十分ではありませんでした。
 ふつうの企業はお客様を第一に考え、
 お客様がいかに満足してくれるかを工夫することを基本としています。
 みなさんのご商売も、そうだと思います。

 ところが、会計業界は違いました。
 お客様の事務の合理化など考えず、30年前と同じように今でも、
 社長の奥様とか一人か二人の事務員が必死になって手書きで不合理な経理をやっているのです。
 それは、お客様の都合とは裏腹に、会計事務所にとっては好都合なことでした。
 なぜなら、もしすべてのお客様がコンピュータを入れて自分で帳簿を付けるようになったら、
 現実的に会計事務所の仕事はガクンと減るからです。
 だからこそ、会計事務所はお客様の経理の合理化にはあまり積極的でなかったのです。
 会計事務所の”商品”とも言うべきサービスの面も同様です。
 月次で処理した経営データは、いつも1か月、2か月遅れの過去のもの。
 経営者にとって価値がありません。
 そのような必ずしもお客様が満足しないサービスを、10年1日どころか、
 30年間も変わらず提供し続けてきたということも、また事実なのです。

 現実のビジネス社会では、ここまでお客様を放っておけば商売になりません。
 満足しない物やサービスには、誰もお金を払わないからです。
 それなのに、なぜ会計業界はやってこれたのでしょうか。
 それは会計事務所というものが、お客様が少しでも合法的に少なく納めたいと考える
 税金の専門家だからです。
 その権威にアグラをかいて、「一度契約したら、いつまでも取引が続くのだ」ということに
 疑いを持たなかったのです。
 お客様に「先生」と呼ばれていると、その誤りに気が付きにくくなってしまうのです。
 お客様にしても、面倒な経理をやってもらう負い目を持ち、
 税務調査のときにはうまくやってもらいたいと考えています。
 だから、満足できないサービスでも、そういうものだと思って妥協してしまっているのです。

■お客様自身にコンピュータアレルギー

 みなさんの経理が合理化できない原因は、お客様自身にもあると思います。
 一言で言えば「コンピュータ・アレルギー」です。
 コンピュータと聞いただけで、ウチには必要ないヨ。
 そんなもの使う規模じゃないし、そもそも使えないヨ。と考えてしまいます。
 小規模事業主の頭の中は、おそらく10人のうち9人、あるいは全員がそうなっているはずです。
 たしかに、かつてのコンピュータは、値段が高く、
 分厚いマニュアルが何冊もあるような使いにくいものでした。
 しかも市販のソフトを使いこなすには専門的な知識が必要。
 導入したとしても思うように稼動せず、かつてのブラ下がり健康器のように粗大ゴミと化した。
 そういうことをよく耳にしました。みなさん、そういう昔のイメージを忘れられないのです。

 しかし、ワープロはいかがでしょうか。電卓はどうですか。
 いずれもコンピュータの一種ですが、いまやどんなに小さな会社にも当たり前のように置かれています。
 ワープロも電卓も、いまや誰も手放せないほど便利に使われています。
 コンピュータは日進月歩で進歩し、いよいよテレビやラジオと同じようにスイッチ一つで
 目的が達せられる電化製品に進化してきたのです。

 たとえばキャッシュレーダーは、コンピュータであっても、
 経理を合理化する機会として誰でも使えるように開発されています。
 専門的な経理の知識をフォローするために会計事務所がお客様をサポートするのは、
 今までと何ら変わりありません。
 変わるのは、手書きからデータの入力に変わるということだけです。
 伝票や帳簿がなくなるだけです。それは、ソロバンが電卓に変わったのと同じ。
 いま電卓が、キャッシュレーダーに変わるだけのことです。
 コンピュータだからと構える必要はまったくありません。
 10年前、数百万もしたワープロは、今や高校生でも持っています。
 さまざまな種類のコンピュータも、やがて同じようにして私たちの生活に入り込んでくるでしょう。
 

3、会計事務所を選択し、120%活用せよ

■顧客第一主義の会計事務所へ

 さて、コンピュータによって数多くのお客様の経理処理を行って、
 業績を伸ばしてきた会計事務所ではありますが、やがてそれも頭打ちになってきました。
 年々多くの税理士が誕生し、お客様は一向にふえないからです。
 さらに大きな問題は、お客様からいただく報酬を長年値上げできなかったことです。
 お客様にとっては価値あるサービスを受けているのではなく、
 仕方なく事務を代行してもらっているのだから、当然と言えば当然かもしれません。
 ちなみに過去20年間で大卒の初任給は約6倍に伸びました。
 しかし会計事務所がお客様からいただく報酬は、せいぜい3〜4倍止まりです。
 人件費だけを考えても収益の悪化は明らかです。
 そのうえお客様がふえないのでは、さすがの会計事務所も苦しくなってきたのです。

 そこで、事務所が抱える根本的な問題を反省しようと動きはじめた会計事務所が出てきました。
 このままでは生き残れないと気づいて危機感を抱いた会計事務所が、
 「顧客第一主義でやろう」「お客様が満足するサービスを提供しよう」という掛け声とともに、
 お客様の事務の合理化や、お客様が望んでいる未来会計サービスに取り組みはじめたのです。
 このような「顧客第一主義の会計事務所」は、日本全国に広がりました。
 日本全国どこの地域にも、必ずこうした先進的な考えをもった会計事務所が存在しているのです。
 それほど会計事務所の「顧客第一主義」ムーブメントは大きなものでした。

 顧客第一主義ということは、お客様である中小零細企業の経営者のことを第一に考えるということです。
 そのような会計事務所は、まずお客様企業の経理事務の合理化に着手しました。
 また企業と会計事務所をオンラインで結ぶことによって、よりきめの細かいサービスを日常的に
 提供するようになりました。
 さらにそうした会計事務所では、決算前における予測税額を打ち出して節税対策を行ったり、
 利益計画から年間予算までを経営者と一緒に考えるようになりました。
 また、毎月企業の予算管理を行ない、お客様に大変満足していただいております。
 そうした顧客第一主義にもとづいたサービスを受けたお客様たちの、
 生の声を収録したのが次の章の「成功者の声」です。
 かつての手書き時代の苦労を考えると、「経理革命」と言ってもオーバーではないような大変革が
 現実になっています。

■孤独な中小企業の経営者

 会計事務所と顧客との関係は、このように少しずつ変わってきました。
 すると面白い変化が現れたのです。
 従来の会計事務所のサービスは、過去の経理の帳簿をまとめるという、いわば事務代行サービスでした。
 それは結果であって、その先には「納税事務」しか存在しません。
 それは会計事務所と会社の経理担当者のレベルで済む問題だったのです。

 ところが顧客第一主義の会計事務所たちが問題にしたのは、これからの企業の将来についてでした。
 節税対策であり、利益計画であり、経営計画です。
 そして最終的には経営者の夢です。
 中小企業の経営者というのは、意外に孤独なものです。
 大企業のように参謀が何名もいるわけではなく、相談できる人もいません。
 良くも悪くもワンマンで仕切って行かなければならない面が大きいのです。
 ときには仕事に疲れることも、行き詰まることもあるでしょうが、
 それでも一人で頑張らなければなりません。

 会計事務所が変化するとお客様の本当の悩みに対応できるようになり、
 孤独な経営者が会計事務所と一緒に経営や夢を語れるようになったのです。
 こうして一つのきっかけから業績が伸び、より会社らしくなったところがたくさん出てきています。

■経理を変えれば会社も変わる

 すでにお気づきのとおり、中小企業経営者とくに小規模事業主は、
 会計事務所を上手に活用するだけで飛躍的に成長できるのです。
 そのために経営者は、会計事務所を「外部ブレーンとして使うのだ」という感覚を
 もたなければなりません。
 自分の思うようなサービスをしてこなければ、
 その商品(サービス)に対していくらでも注文を付けるべきなのです。
 そして、もし満足がいかなければ、自分の会社に最も適した会計事務所というものを
 選択しなければなりません。
 その選択眼も、経営者としての実力の一つです。
 
 第2章でも述べたとおり、経理は経営の重要な柱です。
 それがいかに専門外であっても、経営者が主体性をもって経理の舵取りをしなければ、
 経理はフラフラとどこへ行くかわかりません。
 そこの部分を一緒に考えるために外部ブレーンを探すのですから、
 義理人情などと言って、べったりしてはいられないはずです。

 今や会計事務所は、どこも一緒ではありません。
 必ず、そこの会計事務所の特色というものがあります。
 経営者は、会社の経理や経営のどこに不安や不満があるのかを見つけなければいけません。
 そして次の章で紹介するような成功事例をみて、自分の会社では何を改善し、
 実現していくべきなのかを考えてください。
 それを変革することは、小規模事業者にとって、儲かる企業に変身する大きな転機となるでしょう。
 経理を、経営を、もう一度考え直してください。
 そして、自分の企業に合った会計事務所を選択し、
 これを120パーセント活用していただきたいと思います。
 それができる時代になってきたのですから。
 今、試されているのは経営を本当に良くしたいという
 経営者の「一歩踏み出す勇気と行動」なのかもしれません。

                                          (完)
 


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